プロットとはストーリーをざっくり説明したあらすじみたいなもの。浦島太郎を例にしてみる。
主人公の太郎が海岸で悪ガキにいじめられていた亀を助けたところ、海中神殿に案内される。 神殿には美しい姫が住んでおり、様々なもてなしを受ける。 帰り際、お土産に宝箱を貰うが「絶対に開けてはいけない」と釘を刺される。 海岸に戻ったところ、かなり長い年月が経っているようだった。中身が気になり箱を開けたところ、モクモクと煙が噴き出し、太郎は白髪の老人になってしまう。
思いつくままアレもコレもと書いていくと、だんだん本筋から外れ、ゲームとしての整合性を失うことに繋がる。企画書に沿ったシナリオを書くことが大事だ。企画書に関しては企画書の作り方を参照されたい。
あなたが考えたストーリーのテーマは何だろうか。ここでいうテーマとは、ゲームの方向性がイメージできるものだ。一言でも良いし、文でも良い。「ドラゴンにさらわれた姫を助ける勇者」「無人島監獄からの脱出を図る六人の極悪死刑囚」「保健室の女先生との甘い恋物語」「うち捨てられたロボットと孤児院の少年の悲恋」など。
テーマによってゲームの方向性がビシッと決まったら、そのテーマを膨らませてみよう。「ドラゴンにさらわれた姫を助ける勇者」であれば、例えば『さらわれた姫は勇者の婚約者で、結婚式を翌日に控えていた』など。ポイントはテーマを補強する膨らませ方にすることだ。『姫は勇者の子を身籠もっており、もうすぐ出産を控えている』。これもテーマの補強になっており、一刻も早くドラゴンから姫を助けようという気になる。
※悪い例『ドラゴンは虫歯になっていて、回復能力に長けているブルードラゴンに治療をお願いしようと思っている』こういう膨らませ方はテーマと離れているのでやめたほうがいい。あくまでもテーマの補強を意識しよう。
※悪い例『ドラゴンは虫歯になっていて、回復能力に長けているブルードラゴンに治療をお願いしようと思っている』こういう膨らませ方はテーマと離れているのでやめたほうがいい。あくまでもテーマの補強を意識しよう。
膨らませたテーマを元に、いよいよストーリーを作っていく。先ほどのさらわれた姫の話を例にしよう。「なぜ、姫はドラゴンにさらわれたのか?」と考えると「邪神復活のため生贄に姫が必要だった」とする。そうなると「なぜ、姫なのか?(他の者ではダメなのか?)」と考える。「姫は古い精霊と勇者の血筋を併せ持つ世界で唯一の特別な存在」とする。このようにテーマから連鎖的に発想を広げてストーリーを組み立てていこう。
登場キャラクターの動きがストーリー進行を左右することも事実だ。詳しくはキャラクター講座を参照。
まずゲームの時代が『いつ』『どこ』かを決めよう。「現代」なのか「過去」なのか「未来」なのか。舞台は「小さな島」なのか「大きな大陸」なのか「海上に浮かぶ豪華客船」なのか。さらわれた姫の話では『過去』の『城下町のある王国』と設定する。これだけでは不十分なので『文明レベルは剣と鎧と魔法、移動は帆船や馬車がメインの中世』『王は国民から慕われ、軍事・政治・経済的に安定した平和な王国』と設定した。そうすると「魔法は魔術学校で教えている?」「平和すぎて冒険者や傭兵が他の国に流出しがち?」等のイメージが湧いてくるはずなので、必要に応じて細かく設定すれば良い。
先ほどの世界で『さらわれた姫と勇者がスマホで連絡を取り合っている』『王様がホームページで傭兵を募集している』などの行動が判明したら、雰囲気が台無しになりプレイヤーは興醒めしてしまう。「通信は手紙で行う」「傭兵募集は城下町の冒険者ギルドで行う」など、世界観に合わせたルールをしっかり作っておき、逸脱しないよう心がけよう。
物語の構成を考える方法は色々あるが、まずはシンプルに
- 始まり(オープニング)
- 最高潮への過程
- 終わり(エンディング)
ここでゲームの目的をプレイヤーに伝えよう。『満月の夜、勇者が姫の薬指に婚約指輪をはめた瞬間、突然現れたドラゴンの手下に襲われ姫がさらわれてしまう。辺りはいつの間にか雷雨になっていた』という場面にする。あまりにもベタすぎる展開だが、プレイヤーに「姫を助けに行かねばならない」という気持ちを抱かせると思う。行動が自由なフリーシナリオシステムであっても、いきなり自由な環境に置かれると、プレイヤーは「何をすべきか分からない」という状態に陥ってしまう。「物語の先を見てみたい」と思わせるような動機付けは必要だ。
RPGであれば、オープニングに戦闘シーンを挟んでもいいだろう。戦闘システムの習熟にもなるし、戦う武器や道具などで世界観も伝えやすいのでオススメだ。ここでは「突然襲いかかってくるドラゴンの手下と勇者の戦闘(必ず勇者が負ける)」を入れることとする。
目的を達成する上で障害となるエピソードを入れる。例えば「ドラゴンの城に行くには門番の巨人を倒さなければならない」「攻略に必要なカギを手に入れるには強大なモンスターを倒さなければならない」「ダンジョンのパズルを解かなくてはならない」などなど。障害があるとゲームが面白くなる。どのように障害を配するかは腕の見せ所だ。
障害とは対照的に、目的達成をサポートしてくれるエピソード。例えば「迷いの森の最深部でドラゴンの城まで飛んでいける帽子をくれる精霊と出会う」「ドラゴンの城の封印を解除できる僧侶が仲間になる」など。
ゲームにおける最高潮は目的達成の瞬間だ。「ラスボスを倒し、姫を助ける」「ヒロインと結ばれる」「真犯人を当てて事件を解決する」など。ここまでのシナリオをしっかり作っておけば、プレイヤーは大きなカタルシスを得ることができる。逆に、目的達成までの道のりが単調だと「いつの間にかなんとなくクリアしてしまった」という事態になりかねない。
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